軍艦島上陸クルーズ上陸顛末(1)と「海に眠るダイヤモンド」
今に生きる廃墟
2024年4月20日(土)、念願の軍艦島(端島(はしま))に上陸してきました。
このところ、TBSテレビ日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」で話題になっていますが、廃墟好きにとってはまさに聖地のような場所です。いや、「聖地」という言葉が軽く思えてしまうほどの存在感でした。
いつでも行けると思っていたので後回しにしていましたが、昨年、何がきっかけかは覚えていませんでしたが、調べ始めてみると、日本最古のRC高層アパートの30号棟が「余命半年程度」(過去記事2021年11月)だとか、2020年4月から、端島を管理する長崎市の上陸基準(気象条件)の厳格運用が求められ、上陸率が90%から60%まで低下しているとのことなどなど。となると何が何でも行かなければならないと。ただ、11月から3月は海が荒れて欠航になることが多いということらしいので、4月まで待つことにしました。
ちなみに、投稿済みですが、2024年1月に行った東京湾要塞の第二海堡上陸ツアーは、軍艦島の代替えのつもりで行ってみました。正直なところ、軍艦島の存在感は圧倒的で比較になりません。第二海堡は猿島あってのツアーで、現状の第二海堡に集客力はないと思います。上陸方法に大きな課題があると思いますが、第一海堡の公開を検討してもらいたいと願っています。
軍艦島上陸クルーズ顛末
今回、何が何でも上陸するということで、キャンセル料覚悟で軍艦島コンシェルジュ(4月20日午前便)とやまさ海運(4月21日午前便)にWEB予約を入れました。
軍艦島コンシェルジュの方の予約は2月。軍艦島コンシェルジュの予約サイトは画面に残席数がでていて、2月段階で4月の土日はかなり埋まっていたと思います。あわてて予約を入れた記憶があります。やまさ海運の予約は、3月後半だったと思います。
やまさ海運は当日払いですが(キャンセル規定はあり)、軍艦島コンシェルジュは予約段階で決済されます。
20日は時々雨、21日は曇り予報でしたが、19日に、やまさ海運からTELがあり、21日は難しそうだとのこと。21日の方が良いと思っていたのですが。
なると、なんとしても20日に上陸しなければならないのですが、当日は朝から小雨が降ったりやんだり。多少波もありそうで、はたして上陸できるのか。
受付で聞いてみると五分五分。。。
軍艦島コンシェルジュの乗船受付は、大浦天主堂下の軍艦島デジタルミュージアムです。
軍艦島コンシェルジュは、他社と比べると料金か高めですが、軍艦島デジタルミュージアムの入館料込みという設定です。下船後にも入館は可能です。
発着場の常磐桟橋までは歩いて移動。すぐ前です。
船はクルーザー型の旅客船「ジュピター」です。2017年に導入されたばかりで、揺れを制御する設備を搭載しているとのこと。
とはいっても、当日はそこそこ波もあり、長崎湾内や端島周遊時以外は、着席するよう指示があったと記憶しています。後部デッキにも椅子があり、そこに陣取りましたが、途中暗かったり雨も降ったり波しぶきを浴びたりと、あまり良い写真は撮れませんでした。
端島までは、ビデオ上映と船内ガイドさんの解説。
約40分で端島近海に着いたあと、軍艦島西岸を中心に右舷側左舷側と約20分間ゆっくりと航行。その時も、船内ガイドさんは「上陸」を明言せず、「船長さんががんばってくれるはず・・・」といった感じ。。
「これから接岸準備に入ります」というアナウンスで、船内盛り上がりました。今から考えると、演出っぽいと思いましたが、上陸したときには、そんな経緯も含め・・・想像以上の規模と迫力にも圧倒され・・・久々に感動してしまいました。秘境の廃墟はあちこう歩いてきたつもりですが、何か違うものがありました。約200人の団体行動でしたが、「観光地」とはちょっと違う感覚でした。
多分また行くと思います。
「海に眠るダイヤモンド」も、他人事なのになぜか追体験しているような気持ちで見ています。実際には滞在時間わずか45分ですが。
スケジュール (公式と(実際))
受付開始(軍艦島デジタルミュージアム): 9:00~
軍艦島デジタルミュージアム見学: 9:00~
常磐桟橋移動: 10:00~
乗船開始: 10:00~
出港: 10:30
周遊航海: (11:20~)
端島上陸: 11::35 (11:40)
端島出港: 12:20 (12:27)
帰港: 13:15 (13:10)
「海に眠るダイヤモンド」
TBSテレビ日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」に登場する端島の当時の様子は、かなり忠実に再現されているように思えます。これは、群馬県の巨大なオープンセット+CGだそうです。
登場するシーンの多くは、端島の西側の生活エリア(アパート群)ですが、そこは見学コースには入っていません。
公式のwebサイト・YouTubeなどを参考に、船上からみた様子と、Googleマップで登場する場所を特定してみました。
「めがね」は、たびたび登場する当時のゴミ投棄場で、進平(斎藤工)がヤクザものを撃った場所です。桟橋でもありました。
「地獄段」は、草笛リナ(池田エライザ)が最初に端島音頭を歌った場所です。その前に、鉄平(神木隆之介)の「外勤詰所」があります(16号棟)。
このエリアは、57号棟に商店街があり、「端島銀座」と呼ばれていました。
朝子(杉咲花)の「銀座食堂」は多分存在しませんが、18号棟1階に「厚生食堂」があり、そこはチャンポンが名物でパンも焼かれていたそうです。「銀座食堂」のモデルではないかと思います。
食堂は、他に17号棟の「宝来亭」、30号棟の「ニコニコ食堂」などがあったようです。
和尚(さだまさし)の泉福寺には、実際に女子寮があったようです。ただ、木造の建物は現状で見る影もありません。
荒木家(國村隼・中嶋朋子)、鉄平宅、進平宅、賢将(清水尋也)・辰雄(沢村一樹)宅の場所は、TBSテレビの公式YouTubeで棟部屋番号が紹介されていました。ただし、辰雄は炭鉱長なったので、そうすると鉱長社宅に途中で引っ越したということでしょうか(追記:第6話では鉱長社宅に移っていました)。鉱長社宅も木造なのでバラバラです。
百合子(土屋太鳳)宅は不明。
貯水槽は、ドラマにも登場した、1957年に完成した海底水道管にともなう施設です。
軍艦島上陸クルーズの概要
以下、2024年11月現在の情報です。間違いがないとは言えないので、必要事項は、かならずご自身で確認してください。
端島炭坑は、1974年(昭和49年)1月15日に閉山、同年4月20日に無人島となりました。2001年に三菱マテリアル(旧三菱鉱業)が高島町(現長崎市)に無償譲渡したことから、現在は長崎市が条例等によって管理しています。
○端島への立ち入りの制限に関する条例(平成21年4月20日施行)
○端島見学施設利用基準(平成21年4月20日施行)
○長崎市端島見学施設条例(令和元年10月1日施行) など
・軍艦島上陸クルーズは、長崎市が許可した下記の5社のみが行っています。
・施設使用料は310円。これはクルーズ会社を通じて支払われます。
・見学範囲は、条例に定められた、桟橋・見学広場(第1~3)・見学通路(220m)のみです。
・上陸見学時間は1時間以内。
・見学にあったて、柵をのりこえる、施設を汚す、破壊する、飲酒、火気や喫煙、不適切な衣服等(ハイヒール・サンダル)、雨傘・日傘などの禁止事項の遵守について、誓約書の提出を求められます。誓約書は、各社ダウンロードできるので、事前に準備しておいた方が良いと思います。
・島内にトイレはありません。
・見学は、ガイドの先導による団体行動になります。
・各社事前予約制ですが、当日予約も可能だと思います。
雨傘・日傘の禁止については、200名規模同士の団体が見学通路ですれ違うことがあるため危険とのことだそうです。雨カッパは各船で売っているようです。軍艦島コンシェルジュは無料でした。どのみち強風・大雨では上陸できないので、簡易的なもので十分です。
写真、動画撮影は大丈夫ですが、軍艦島コンシェルジュは、ガイドさんの解説を長回しで撮影すること、録音することは禁止とのことでした。
軍艦島(端島)上陸基準
気になる上陸(のドルフィン桟橋利用)基準は以下の通りです。
・伊王島沖に設置された波高計の測定値が0.5mを超えるとき。
・端島周辺の風速が秒速5mを超えるとき。
・端島周辺の視程が500m以下のとき。
○「端島見学施設利用基準」(平成21年4月20日施行)
伊王島沖の波高計データはこちらでリアルに確認できます。
ナウファス(全国港湾海洋波浪情報網)
上陸基準施行当初は、クルーズ船ごとの判断に任せられていたようですが、2020年4月より、上陸基準の厳格運用が義務づけられることとなったため、軍艦島コンシェルジュの集計によると、2020年4月以前は、出航率91.9%、上陸率94.0%だったものが、現状の上陸率は60%まで低下しているとのことです。最近の出航率、上陸率はどこも公開していません。
参考までに、やまさ海運の2023年とそれ以前の出航率・上陸率はこちらです。
軍艦島クルーズ会社5社
軍艦島への上陸には長崎市の認可が必要で、上陸が許されているツアー会社は現状で5社のみとなっています。
5社のうち、第七ゑびす丸は地元の漁師さんが運営する漁船です。軍艦島まで5~10分ですが、長崎市内からだと、野母崎まで約50分かかります。また、少人数だと状況によっては割高になるようなので、ご注意ください。
他4社は、出航時間が違うことと、乗船場が、長崎港ターミナル近く(やまさ海運・高島海上交通)か、常盤桟橋(軍艦島コンシェルジュ・シーマン商会)かで分かれます。あと、高島に寄るかどうか、そのあたりが選択肢になると思います。
軍艦島コンシェルジュの料金は高めですが、軍艦島デジタルミュージアムを単独で利用した場合は一般で1,800円です。以前は高上陸率を誇っていたようですが、2020年 4 月から上陸規定厳守が求められるようになってからは、どのクルーズ会社でも同じだと思います。
各社ともwebで当日の運行状況(欠航・周遊変更・上陸)をほぼリアルタイムで確認できますが、しばらく見ていた感じでは、最初に出発する、やまさ海運のマルベージャが上陸していれば、少なくとも午前中は各社足並みを揃えているようでした。
今回、軍艦島コンシェルジュとやまさ海運の2社を選んだのは、軍艦島コンシェルジュは軍艦島デジタルミュージアムにも興味があったのと、所要時間が高島に寄港する高島海上交通をのぞくと最長の2時間45分で、周遊時間が長いのかなと思ったこと(実際には不明)、やまさ海運は、軍艦島上陸クルーズの老舗ということで決めました。
翌日に予定していたやまさ海運は、20日に上陸できてしまったので乗船していませんが、前々日にわざわざ電話を入れてくれたり好感がもてました。20日上陸後、やまさ海運に電話でキャンセルを申し出ました。やはり翌日は天候が良くないということで、キャンセル料は免除していただきました。当日払いなので支払いはしていませんでしたが。
軍艦島デジタルミュージアムについては、今回上陸のことで頭がいっぱいで、あまりよく見ていません。地獄段の実物大模型があったり(まったく覚えていません)、次回行ったら、もう少し楽しめるかもしれません。ただ、ミュージアムのみ一般1,800円はちょっと。。。
以下5社概要です(出航順)。かならず各Webサイトで確認してください(2024年11月現在)。
やまさ海運
やまさ海運は、周遊ツアーを含め、1997年から軍艦島ツアーを行なっている老舗の会社です。
・料金大人:4,500円 別途長崎市施設使用料310円。
早割割、Web割あり。支払いは当日窓口。クレジット可。
上陸できなかった場合は、乗船料の10%、施設使用料返金。
14日前からキャンセル料発生。
・出航時間:午前便 9:00 (~11:30)/午後便 13:00 (~15:30)、所要時間2時間30分。
・船舶:「マルベージャ」定員225名、「マルベージャ3」定員221名。
乗船受付
長崎港ターミナル1F 7番切符売り場 (長崎市元船町17-3)
乗船:長崎港大波止元船第2号桟橋
予約TEL:0800-200-8180
問合せTEL:095-822-5002
website
高島海上交通
ツアー5社の中で最長の 3 時間 20 分。軍艦島の他に高島(上陸見学30分)も巡ります。
・料金大人:3,600円 別途長崎市施設使用料310円。
予約はwebから。当日は現金払いのみ。
クレジットカードの利用は「じゃらん」にて。
上陸できなかった場合は、施設使用料返金。
当日までキャンセル料がかかりません。
・出航時間:午前便 9:10 (~12:10)/午後便 13:00 (~17:20)、所要時間3時間20分(午後便)。
・船舶:「ブラックダイヤモンド」定員200名。
乗船受付
高島海上交通事務所 (長崎市元船町11-22)
乗船:長崎港大波止元船桟橋
問合せTEL:095-827-2470
website
シーマン商会
NPO 法人 「軍艦島を世界遺産にする会」理事長と会員がガイドを務めます。他に比べると少人数です。
・料金大人:3,900円 別途長崎市施設使用料310円。
予約はwebから。当日は現金払いのみ。Webサイトに300円割引チケットあり。
上陸できなかった場合は高島(石炭記念館)に寄港。施設使用料は返金。
前日からキャンセル料がかかります。
・出航時間:午前便 10:30 (~13:00)/午後便 13:40 (~16:10)、所要時間2時間30分。
・船舶:「さるくⅡ号」定員96名。
乗船受付
さるくⅡ号:常盤第2桟橋 (船内で受け付け)、事務所ではありません。
シーマン商会事務所 (長崎市丸尾町1-48)
問合せTEL:095-818-1105
website
軍艦島コンシェルジュ
軍艦島デジタルミュージアムを併設しています。料金は、軍艦島デジタルミュージアムの入館料を含んでいます。
・料金大人:スタンダード 5,000円/プレミアム 8,000円など 別途長崎市施設使用料310円。
土日祝やGW、夏休みなどの特定日別料金。
2025年4月からから55,00円と9,000円に値上げ予定。
上陸できなかった場合は、周遊料金に変更、施設使用料返金。
web予約の場合、事前決裁。7日前からキャンセル料が発生。
・出航時間:午前便 10:30 (~13:15)/午後便 13:40 (~16:20)、所要時間2時間45分(午前便)。
・船舶:「ジュピター」定員199名。
乗船受付
軍艦島デジタルミュージアム (長崎市松が枝町5-6)
乗船:常盤桟橋
問合せTEL:095-895-9300
website
第七ゑびす丸
軍艦島まで5分。少人数で行く最短ツアーです。おもに野母崎から軍艦島、中ノ島への瀬渡し(釣り船)をやっているようです。
・料金大人:1~4名 (1隻) 24,000円、5~7名 (1人) 5,250円、8~14名 (1人) 4,200円、15~20名 (1人) 3,150円、別途長崎市施設使用料310円
・出航時間:午前便 10:30 (~13:00)/午後便 13:40 (~16:10)
・船舶:「アイランド号」定員不明
予約、問合せは、電話ないしメール。料金設定は少人数だと割高になるようです。詳細はお問い合わせください。
乗船場所は、野母崎半島の先端近く、長崎市恐竜博物館と軍艦島資料館の近くです。受付場所と乗船場所が同じなのか、確認できませんでした。
ちなみに、釣りでの上陸は、長崎市の見学施設条例の適用外だそうです。
乗船:野母港
第七ゑびす丸 (長崎市高浜町3960-3)
問合せTEL:090-8225-8107
website
駐車場についてですが、上記4社は専用駐車場がありません。ただし、いずれも近接して県営駐車場、県営常磐駐車場、長崎市松が枝町駐車場があります。有料ですが。。
長崎市軍艦島資料館
上陸の翌日、4月21日(日)は、第七ゑびす丸乗船場近くの野母崎の長崎市軍艦島資料館まで行ってきました。長崎のもざき恐竜パークの一画にあり、長崎市恐竜博物館と併設されています。日曜日ということで恐竜博物館は大人気でした。
それに比べると軍艦島資料館は。。模型や実物展示は少々で、写真と文字パネルが多数。しかし、撮影禁止。現地ですべての文章を読んで理解しろと。。。博物館、資料館でまだ展示室内一律撮影禁止にしているところがありますけど、いいかげん考え直してもらいたいと思います。
長崎市軍艦島資料館
長崎県長崎市野母町562-1
時間:9:00~17:00
休館日:年末年始
入館料:一般200円
軍艦島(端島炭鉱)、続きます。
2024年4月現地、2024年11月30日投稿